瓦そばというのを知っているがね?
屋根瓦の職人をやってるが、そんな郷土料理のそばがあるなんてなー、前々から、気になるっちゃ気になってたわな。
生まれは東北、そんでもって長~いコト関東住みだがよ、なっかなか馴染みが薄い和食料理やな。
ちょっと前に流行ってた人気ドラマ「逃げ恥」でも評判になった郷土そばでもあるしよー、ちっと、瓦そばについて、今回は掘り下げてみよーかと思ってんだぁ。
瓦そばが生まれた所以
瓦そばとは単純明快、読んで字の如し、あの屋根瓦の上にそばをのせて、つけ汁で頂く料理だんな。
昭和30年代に山口県川棚温泉郷で、お客様をもてなす旅館料理として出されたのがきっかけでよ、川棚温泉の名物料理として、今もなお郷土料理として出されているって話しだがよ。
もともとは、明治の時代に薩摩軍が、陶器である屋根瓦を食器代わりに使っていたというのをヒントにしたそうだがよ、それを現在でも残しているっつーコトは、ただの客寄せパンダ的な評判を狙ってのコトじゃねーとも言えるだな。
文字通り、熱した瓦の上に茶そばと具材を載せて、温かいめんつゆで食べる料理である。1877年(明治10年)の西南戦争の際に熊本城を囲む薩摩軍の兵士たちが、野戦の合間に瓦を使って野草、肉などを焼いて食べたという話に参考にして、1961年(昭和36年)に川棚温泉で旅館を営む高瀬慎一が宿泊者向けの料理として開発したとされる。これが評判となり川棚温泉の他の旅館でも提供されるようになったことから「川棚温泉の名物料理」とされるようになり、さらには下関市を初め山口県内各地でもご当地グルメとして広まり、山口県出身者等により山口県外でも供される店が存在する。一部の料理店では瓦ではなくステーキ用の鉄板で供されることもある(この場合は「茶そば鉄板焼」と呼ばれることも多い)。山口県内では広く家庭でも食されており、家庭向けに蒸した茶そばとつゆのセットがスーパーマーケットなどで売られており、家庭でも調理されることもある(もちろん、家庭では瓦に載せて供されることは皆無であり、ホットプレートやフライパンが用いられる)。
そもそもよ?瓦ってのは良質な粘土で作った焼き物であり、陶器だわ。
1200度もの焼きを入れるコトで、その陶器は丈夫になり、その素材は、分子レベルで引き締まるわけだわ。
屋根瓦という性質上、酸性雨にも、風速40mの台風にも、塩害にもへこたれない脅威の耐久性を持っているのは言うまでもねーやな。
▲大昔の瓦を焼いた窯
仮に鉄板を熱した時に、熱伝導率が高い鉄のほうがすぐに温まるがよ、そこにのせた食材はすぐに焦げ付き、食器として出す場合であっても表面だけ焼けている状態になっちまうと思わねーかや?
かつ、冷めるのも早ぇわな。
そこで、陶器である瓦を熱した場合は、適切にできた内部の空気層により、遠赤外線効果が望め、じっくりと芯から食材を温め、食べ終わる最後の最後まで、しっかりと保温してくれるというメリットがあるんじゃねーかな。
電気保温器具が無かった時代の、電気不要のホットプレートであったのだと思われるわけよ。
やっぱ昔の人はあったまええだよ。
どんな食材であっても、その特徴を活かし、道具としての機能を果たし、直火にも耐えられ、ビジュアル要素も合わせ持つ、瓦食器、なかなか、こんな逸品は、なっかなかねーんじゃねーかな。
ま、今で言うところの、土鍋だわな。
だったら、明治時代の薩摩の武士上がりさんらよ、温かい蕎麦を食べる器ならば、土鍋で良かったんじゃねーか?
っつー疑問が付いて回るわな?
んなくそ重くて壊れやすいもんを、ただの食器として持ち歩くなんざ、バカのやることごわす!
と言ったかどーだが知らんが、幕末終焉当時、内乱続きだった時代背景を考えれば、崩れた家瓦がその辺りに落っこちてたって不思議じゃねーやな。
そんなの拾って、火にくべて、あったけー蕎麦を食ったって考えれば、納得できるわな。
カンタンに言えば、瓦蕎麦ってのはさー、江戸の蕎麦切りとは違う、つまり、関東で言うところの「焼きそば」だったんだな。
蕎麦を焼くプレートとして、瓦を使った。
これが、きっと、瓦そばの所以だな。
瓦食器
今現在、瓦そばを提供しているお店で本当の屋根瓦を使っているのは、少ないかも知れんがよ、それは、食品衛生上のコトもあり、ちゃんと食器として瓦の形を似せたモノが発売されているからというのがあるでよ。
とは言え、瓦という焼き物陶器をガスで熱するわけなので、そんじょそこらの陶器では、長き営業に耐えられねーんでねーか?
そこは本物以上のクオリティが必要になるかも知れねーな。
そんな、こだわりの瓦食器を作っているトコロは、しっかりと建築瓦とは違う手法を取り入れ、安全に、より食べやすい工夫などがされていると思うだに。
お店でも、ちゃんと石州瓦などを使って提供しているトコロもあってよ、瓦の使い方が違えど、こんなに身近に瓦と接して頂くのは、なんとも嬉しいモノだわな。
そんな丈夫で、口に入れて安全な、営業に耐えられる瓦食器を扱っているトコロをちょこっと調べてみたんだわ。
瓦食器を手に入れる
- 石州瓦の製造販売 亀谷窯業 瓦そばと直火用瓦食器
国産土鍋用粘土を使用した直火に耐える瓦食器。出雲地域で採れる来待石、石見地域で採れる長石、天然石材からなる天然釉薬を使用し、焦げ付きを低減。食品、添加物等の規格基準を満たした安全な「加熱調理用器具」。
- 瓦皿&【耐熱】瓦型陶板 | 業務用食器の総合プロデュース|株式会社 豊栄
日本家屋には必要な日本の屋根瓦ですが、かつて瓦屋根の家屋が建ち並んでいた日本の風景を都心などで最近は見かけなくなってしまいました。近代的な住宅が多くなり、瓦屋根の日本建築の住宅の並ぶ風景は、日本らしさや日本情緒等を感じる存在です。その瓦を強度のある磁器と、耐熱陶器で作成してみました。
- 楽天市場 瓦食器
言わずと知れた通販巨大サイト。瓦を直火でかけるタイプもあれば、ご家庭で食器として使えるタイプまで多種多様な瓦食器が販売されています。
- TSUKI 丸三安田瓦工業株式会社
185年の歴史をもつ安田瓦の技術と特性を活かした自社ブランド「TSUKI」。デザインディレクターに梅野聡氏を迎え瓦の美しい表情と機能性を活かしたテーブルウェアをご堪能下さい。
瓦そばレシピ
では、瓦そばを再現できねーかって?
お家でやるとしたら、まず、瓦器を直火で熱しチンチンにしておく。
茶そばの乾麺があんだろよ?それを仮茹でして、鉄板でジャーっと焼き、熱々のまま、その温かくなった瓦の上へのっける。
そばの上に錦糸卵を敷き詰め、さらにその上に、蕎麦では珍しい、しょうゆだれで煮込んだ牛肉をのせる。
ねぎ、レモンを添えて、温かいつけ汁に漬けて食べるのが元祖瓦そばレシピだ。
家でもできねーことはねーが、ま、やっぱ再現するにしても、電気ホットプレートでやるほうが再現度は増してるかもな。
ま、とは言え、これで満足かー?って言ったら、そーゆーこっちゃねーわな。
瓦の盛り上がっている方に盛り付けるので、その盛り具合のビジュアルは、エンターテイメントな料理として、山口観光した折に食すと、そーゆーのがスペシャルで嬉しいわけだに。
旅行観光ありきの食べ方だわな。
いやいやいやいや、何を言ってるがや?都内だってしーっかり食えるどー!って声が聞こえてきたので、都内で食える店でも調べてみたわさ。
都心周辺で瓦そばを食べる
瓦そばが食べられるお店一覧
- 瓦.Tokyo
屋号からして瓦そばを代表する東京のお蕎麦屋さん。
http://kawara.tokyo.jp/
- 福の花 系列
山口県の海産物、畜産物を中心とした郷土料理が楽しめる隠れたコスパ最高居酒屋
http://www.bears-co.jp/fukunohana.html
- kawara CAFE&DINING 系列
CAFE、DINING、BAR、音楽ホール、etc、立地、空間に応じて、様々な業態の店舗・施設を展開しています。
http://www.sld-inc.com/kawara_udagawa.html
- BEYOND B.B
六本木 塊肉 beyond B.B/極上のおもてなしは、極上の美味からはじまる。大江戸線六本木駅7番出口徒歩2分。六本木塊肉 beyond B.B
http://www.beyond-bb.jp/
- 季創りそば 膳 奈美喜庵
旬の野菜、海の幸をふんだんに使用しさくさくな かき揚げにしました。
http://www.tama5cci.or.jp/~dan078/kakuomise/33namikian/33kizukurisobazennamikian.html
- 居酒屋 ぶちえらい
ぶちえらい(山口弁ですごく疲れた)時に店に来て、元気になってほしいという想いを込めた屋号です。焼き鳥、刺身、瓦そば、山口料理がメインの居酒屋
https://tabelog.com/tokyo/A1325/A132503/13140911/
- HANEYA
- カフェバー シリウス 本店
瓦そばのまとめ
と、瓦そばについて掘り下げてみたんだけんども、瓦屋として長年携わって来て、あまりにも、瓦自体のコトについて、消費者が認識が足りねーな・・・もっと瓦のことについて知ってもらう努力をせねばならんな。というコトを感じてるだよ。
- 重い
- 古臭い
- 高い
- 割れる
- 補修が効かない
などなど、瓦に持つイメージはこんな感じだと思うだに?
まずは、瓦とは、どんな性質を持ち、どんなコトに優れ、どんなに耐久性があるのか?を、この郷土料理「瓦そば」は、ユーザーに対して認識を深めるタメに、ひじょーにイイアイテムかと思ったんだわ。
瓦の食器としてのメリットなどを上げたがよ、もちろん、金属や樹脂、セラミックなど新素材に比べ劣る点もあるはずだね。
だがよ、昔の人が使ったのは、使った理由が必ずそこにあるだがよ。
そんな瓦自体の魅力を、やまざき瓦店のやまざきが少しずつでも皆さんにお伝えできたらと思ってんだー。
ぜひ、屋根瓦としても、瓦を信頼し、瓦工事を瓦屋でご依頼頂ければと切に願うしだいだわさ。